受託開発から自社サービスを生み出すまで ~ICタイムリコーダー~

事業目標の1つに「新たなITサービスの創造」を掲げるオープントーン。しかし、当初は受託開発がほぼ100%の事業構造でした。
そんななか、受託案件のノウハウを生かし「ICタイムリコーダー」を自社開発しリリース。当初は、社長自ら1営業マンとして奔走していた時代もありました。自社サービスをリリースするに至ったきっかけは?そして今後の展望は?

ICタイムリコーダー事業部のマネージャー陣と代表が語ります。


佐藤 大輔
オープントーン代表取締役
兼ICタイムリコーダー事業部部長
野田 昌敬
ICタイムリコーダー事業部
開発責任者

プロジェクトストーリー 03

ICタイムリコーダー事業部

Project Data

プロジェクト概要

 ICタイムリコーダー開発

技術

 .Net言語フレームワークを用いたオブジェクト指向言語
(Web)

開発体制

 プロジェクト参加数(協力会社を含む)

 開発メンバー3名

規模感

 数十人月


ICタイムリコーダーを開発するに至ったきっかけを教えて下さい。

佐藤:2005年に日本で開催された大きなイベントにおいて、「入退場者の管理をICカードでしたい」という顧客のニーズがありました。その結果、開発したものが今のICタイムリコーダーの原型です。
2005年は、まだまだICカードが今ほどは普及しておらず、先進的なICカードでの管理システムを導入したいという顧客の要望がありました。
当然勤怠管理にICを使う事例も、まだまだ少なかったです。その2005年のイベントでの開発におけるノウハウを生かして、自社サービスとして開発・リリースしたのが「ICタイムリコーダー」です。

当時から勤怠管理システムは供給過多のレッドオーシャン(競争の激しい既存市場)であると思われますが、あえてそこに参入したのは?

佐藤:当社の事業目標の中にある、「新たなITサービスの創造」というのはテクノロジーのみならず「価格」や「利便性」「機能」なども含んでいます。
そもそも、その当時はまだICを利用した勤怠管理自体がほとんど無かったですしね。

また、「価格」や「利便性」で考えた時、従来の勤怠管理システムから一線を画したサービスを提供できるのではないだろうかと考えたのが参入のきっかけです。

その後は順調にユーザー数を伸ばしていったのですか?

佐藤:いえ、恐らく多くのITベンチャーが直面すると思いますが、モノを作るノウハウと、自社サービスを広めて売るノウハウは「まったくの別物」です。
当初、塚田のような販売・サポート専任担当もいませんでした。
3年ほどはそうした、販売やサポートの取り組みもせずに、紹介や飛込みで地道に、顧客の情報担当部門に「パッケージソフト」として販売をしていました。
結果、年に数本程度売れる程度の売れ行きでした。もともとレッドオーシャンの市場ということもあり、当社も事業の断念を何度も検討しました。

現在のユーザー数、サービスへと変わった転機があったのですか?

塚田:そこで私の出番です!
生み出したサービスは今度は販売し、さらに導入後はサポートをしなければいけません。勤怠管理はIT企業向けのサービスではありませんから、ITリテラシーの低い、店舗や工場なども販売やサポートの対象となります。

中々、受託メインの開発会社はそうした「ユーザーへの自社サービスの提供」が得意ではありません。
ですが、実際にはそうしたサポートもいわば「必須要件」のようなもので、利用する顧客にとってはとても大事なものです。

佐藤:同時に、サービス体系もオンプレミスを中心としたパッケージから月額制のクラウドへと移行しました。
価格も100万円以上するオンプレミスのパッケージから150円の月額クラウドへと大きく方向を変えました。

そのことにより当社の目標の一つである”新しい技術や、創造性に満ちたサービス、大きく低減したコストなど、 ITによるイノベーションを起こす。まだITによる恩恵のない企業・組織・分野にも新たな価値を提供していく”
という点に、特に価格と利便性という観点で取り組める製品となりました。

サービスのリスタートを切ったわけですね。
自社サービスを売る・サポートするやりがいはどのあたりにありますか?

塚田:今後はこの価格と利便性を武器に紙のタイムレコーダーよりも便利で安い「どこにでもある」サービスに育てていくべく取り組んでおります。目標は、全国津々浦々、どこの会社・店舗・工場・・・・職場でも当たり前のように使われている商品になるように取り組んでおります。

分かっていたことですが、競合の多いサービスですので、そうした競合と比較して採用していただけるように取り組むのが難しいですね。ブランドも知名度もずっと強い大きな企業が競合にひしめき合っていますから。

Webでのプロモーションやマーケティング、広告戦略など、単なる1営業、1サポートからはかけ離れた取り組みが必要になりました。
自社サービスとして、そうした取り組みも柔軟に自由に、さまざまなチャレンジができるのがやりがいでしょうか。
サポート担当として、ユーザーのお叱りの言葉に、凹むことも少なくはないですが、他社の商材やサービスをただ売ったり、サポートしたりするわけではなく、大事な自社商材として取り組めるのは価値あるチャンスだと思います。

販売やサポートといった競争を続けていく中で、当然、システムの運用や開発も重要な要素だとも思いますが、自社サービスの開発体制はどうなっているのでしょうか?

佐藤:単に安いだけでは、申し込みは多いものの、長く使っていただけなかったり、規模の大きい会社様になると、機能不足を訴えられたりします。
なので、「どこにでもある」サービスに育てるためには、塚田のように販売・サポート担当だけでなく、開発というサービスそのものへの取り組みも必要になっています。

野田:私の出番ですね。大分待ちましたが(笑)
元々、同じようなサービスの開発に関わっていた経緯もあり、オープントーンへは自社HPより応募させていただき、採用されて以来、サービス開発を担当させていただいています。
自社サービスの開発というと、開発者の間では、納期や顧客との折衝などが少なく「楽なイメージ」も強いと思います。

実際はソウでもないと?

野田:逆に難しい部分が強いと思います。納期にしても開発コストにしても、開発会社の社内だから厳しく見られます。
常に「同じリソースをかけるなら、受注した開発にまわしたほうが回した方が良いのでは?」という社内の圧力にさらされ続けます。

開発する要件にしても、顧客の責任者がいて、その人が決断したとおりに機能を作ればいいのとは違い、すべてが手探りです。
ユーザーが本当に望んでいるのはどんな機能か、使い勝手の良さとは何か?受託の開発であれば、要件定義書を作り、顧客の合意が取れれば、それが正しい仕様です。
そうした「正しい仕様」はないが、納期とコストは同じように、定められるという点では受託開発より難しい側面を持つと思います。

クラウドサービスですから解約もありえます。製品にコストに見合った価値を感じて頂けたなかったということなのでしょう。
開発者としてただ好きなものを作るのではなく、出来る限り顧客の声には耳を傾け、営業と連携して顧客ニーズを収集し、機能追加とアップデートをするよう日々取り組んでます。

また、これまで専属の開発チームを持たずにプロジェクトベースで開発を重ねてきました。
その結果、特に運用面の改善などの取り組みが少なく、そうした仕組みの構築には一から取り組まないといけませんでした。

技術的には好きなようにチャレンジできそうですが?

野田:技術的な側面でいくと、既に立ち上がってしまっているサービスのアーキテクチャは、そんな簡単に手を入れられません。そして、既に何百社もが24時間365日このシステムを使っています。
その結果、リリース作業のためのシステム停止も、事前告知をして、マニュアルを改訂して、障害発生時の対処も準備して、、、という風に、開発作業以外の面で「大仕事」が待っています。

なので、自社サービスの開発を目指すエンジニア方にも安易に「好きなものを作りたい」と考えるより「売ったり」「サポートしたり」と大きな目でシステムを考える必要が有ることを知っておいて頂きたいですね。
その上で、そうした広い視野で「自分たちでサービスを送り出すんだ!」という思いをお持ちの方は大歓迎ですね。

代表から見て、現場の開発者が頑張ったなという点はどういったところですか?

佐藤:リリースしてから大きな事故が10年間近くなかったことですね。
長期間サービスが停止するような大きなシステムの障害、データの破損といった事故を起こすこともなく、ここまで運用できたことは開発に関わった全ての社員に感謝したいです。

そもそも当社はミッションクリティカル系の案件に非常に強みを持っております。
その強みが自社製品においても活かせた結果だと思います。

自社サービスの開発に関わる魅力と面白みはどんなところですか?

野田:自社サービスの企画開発というのは、自分のアイディアを世に送り出したい人にとっては、すごく面白みと遣り甲斐を感じられる事だと思います。

やはり技術的にもサービスとしても自分たちの生みだしたモノが誰かの役に立つのはやりがいを感じることです。
「これ私がやっているんだ!」と実感できる結果ですしね。

佐藤:経営の観点からも自社サービスには取り組む意味があります。
どうしても受託開発は企業の規模(開発体制の人数)と売り上げや利益が連動しやすくなります。
その結果、待遇改善や、研究開発などに取り組もうと思っても、そのための原資を生み出すために、どんどん会社の体制を人数という意味で、大きくし続ける必要があります。

その点、こうした自社サービスが軌道にのることで「開発者の数=売り上げ」という構造から脱却でき、待遇改善を含むさまざまな取り組みが可能になります。

塚田:売れなければ一円にもならない代わりに、ユーザーが増えた分だけ収益を伸ばすことができますからね。

佐藤:上記の経営目標の一つにもあるように、当社では、ICタイムリコーダーだけでなく、他にも自社製品・自社サービスを生み出していっております。

自社サービスの企画開発は、特定の顧客ではなく、社会に必要なものを想像して、創造する事が出来ますので社会的意義を感じる事が出来るでしょうし、創造性を生かしながら経済的な成功を勝ち取れる事が大きな魅力でもあるのかなと思います。

今ではなくても、そうした送り出したいアイディアや技術を、あるいは販売や、サポートまで含めた、サービスを生み出す経験をお持ちの方、あるいはそういう経験を積みたい方にも是非門戸を叩いて欲しいですね。

今後の事業展望を教えて下さい。

塚田:開発も営業サポートも協力して、シェアの拡大に取り組んでいきます。
製品の品質には自信がありますから、あとは売る仕組みを整備して、導入ID数を増やしていきます。
最近も従業員400名規模の顧客に導入して頂く事が決定しました。

顧客に「勤怠管理の手間が大分楽になったよ!」と喜んでもらえると本当に嬉しいです
そんなお褒めの言葉を日々聞けるよう、営業活動に益々注力していくつもりです。

野田:今は勤怠管理の目的がメインになっておりますが、機能追加をしていき、ゆくゆくは全般的なERPソリューションを提供できるシステムに育て上げたいです。

色々な角度から企業の事業支援ができる自社サービスにしていきたいですね。
市場も日本だけでなく、海外展開もしていきたいですし、色々な発展性と可能性を感じています。
大きな夢を追いかけながら日々仕事してます。