我々はネットバンキングの先頭を走り続ける。

ミッションクリティカルな
ネットバンキングにおいて驚異の
“2週間ごとの改善リリース体制”
を構築

楽天銀行株式会社 様

https://www.rakuten-bank.co.jp/

プレスリリース概要

楽天銀行株式会社(以下、楽天銀行)は、ビジネスのスピードを加速させ、さらなるビジネスプロフィットを向上させるべく、ネットバンキングとバンキングシステムを支える様々な基幹システムの早期リリース体制の構築を行った。その主要ベンダーの一角として、株式会社オープントーン(以下、オープントーン)は楽天銀行の前身であるイーバンク銀行時代から体制構築を支援。楽天銀行と協力し、大幅なショートリリースが可能な体制を構築した。
楽天グループに加入後は、グループ内の様々なサービスの進化に合わせて連携するサービスなどの開発速度の強化が課題に。
さらにはスピードを武器とするネットバンキング自体の機能強化。日々追加されるセキュリティ施策、法改正に対するあらゆるビジネスニーズに、どの銀行よりも早く・正確な対応を可能にするため、2012年システム本部はシステムの開発体制・運用体制を見直し再構築。
2013年9月現在、ミッションクリティカルなバンキングシステムに置いて、これまでの2,3カ月ごとのリリースから、2週間という驚異的なショートリリースが可能な体制を構築した。

本事例の御紹介

銀行貝最速で最高のサービスをリリースし続ける。
しかも本番障害なしで。


楽天銀行株式会社 千代様

インターネット専業銀行で口座数NO.1の楽天銀行様は、インターネットバンキングで投資信託・外貨預金・FXの取引、BIG・totoの購入、公営競技の投票、ローンの申込が出来、各種お取引毎に「楽天スーパーポイント」を貯められる、独自のサービスを展開されています。
当初は10万口座程だった利用者は、現在では440万口座を数え、押しも押されぬネットバンクの雄に成長いたしました。
2006年より、オープントーンはシステム開発体制の一角を担いつづけて、ワンストップで開発業務のみならず、業務、フロント系のデザイン業務、クライアントとの折衝業務をこなしたことで、高い信頼性を獲得することが出来ました。今回は楽天銀行システム開発本部システム開発部長である千代幸生様に、フロントエンドシステムからAMS(口座管理システム)にいたるオープントーンのソリューション能力について伺いました。

1. なぜ銀行なのに2週間でリリースを可能にしたのか?

Q:楽天銀行様はネットバンクの先駆けとして2001年よりサービスを提供されていますね。

楽天銀行は、前身のイーバンク銀行のサービス開始後より、専業のネットバンクとしては最大規模の440万口座を保有し多くの御客様に、サービスを提供してまいりました。 ネットバンクはインターネットという日進月歩の技術と、銀行業という信頼が全てともいえる業務の両立をしなければいけない非常に特殊な世界です。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:銀行業におけるシステムと言われて我々が想定するのは、セキュリティなどがまず最初に浮かびますが、それもこれも、そもそも業務が確実に遂行されるという信頼の上でのお話ですね。

ええ。我々の銀行業務は振り込みにしろ、入出金にしろ、預金の管理にしろ、確実に遂行されるという「絶対の信頼」に基づいています。 ネットバンキングに置いても「絶対の信頼」が第一です。 振り込んだお金が届かなかったり、別の方に届いたり、金額が違っていたり、そうしたミスや手違いは絶対に許されません。業務の信頼性が第一なのは事実です。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:そうすると、信頼性が第一という銀行業にあって、今回発表された2週間以内のシステムのサービスリリース体制の狙いとは何でしょうか?

当初、純然たる銀行専業の企業としてイーバンクは開業いたしました。 その時は企業としての立ち位置は、ネットベンチャーでありながらも、やはり銀行という色を濃く持っていました。 その時も3カ月に一度のリリース体制を持ち、それでも十分に業界トップクラスのリリース速度を誇っていました。 しかし、当社が楽天グループに加わり、グループ全体の金融部門という立ち位置に変わりました。 結果、日々刷新を続けるグループ内の他の大量のサービス群とコラボレーションし、連携をするために要求されるビジネスのスピードが非常に早くなりました。 その結果我々は「品質を保ったまま、サービスをどこよりも早く展開する」という非常に困難なオーダーに直面したのです。
楽天銀行株式会社
千代様

2. 品質を損なわずに、リリースのスピード強化する

Q:なるほど、これまでの銀行としてのサービスの提供スピードから、今度はネットサービスとしてのスピード感が求められたのですね。しかし、スピードを求められているにもかかわらず、10万口座から440万口座へ増えていますね。 いわば身体は急速に大きく成りながら「もっと早く、まっすぐ走るよう」に要求されたわけですね。

それだけではありません。楽天スーパーポイントをはじめとしてグループ内の様々なサービスとのコラボレーションもあります。 ですので、「身体は急速に大きく成りながら、色々な物を持って、もっと早く、まっすぐ走るよう」要求されたのです。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:その「困難な」というより「不可能」とも思われる命題を、システム本部はどのように解決し、2週間の短期リリースを可能にしたのですか?

3. SIベンダーとの協力体制の構築が鍵

実は当行はシステム部門に限れば100名程度の小さな組織です。 当然今回発表させて頂いたシステム開発体制の構築には 多くのSIベンダー様にご協力頂きました。 その中でもオープントーン様は、2006年より現在に 至るまで一貫して当行のシステム開発部門を様々な 面で支え続けて頂いております。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:なるほど、リソースという観点でもノウハウ という観点でもそうした協力会社との関係を 機動的に生かしながら構築したという事ですね。

はい。もちろん、それだけではありません。 開発だけでもサービスは成立しませんから、 従来より複雑な環境構成やサービス構成を運用し続けるシステム運用部やサービスの顧客や行内の業務の調整を行うユーザー部などあらゆる組織が「身体は急速に大きく成りながら、色々な物を持って、もっと早く、まっすぐ走るよう」組織改善の努力を重ねてきました。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:「改善すれば成る」という甘いものでもないでしょうから、従来からのシステム本部の改善体制や管理体制も奏功したのですね。

そうですね。当行のシステム本部は従来よりRMC(※1)という独自のシステムを使用しチケット単位でのコスト監視を行っています。 さらには案件をプライオリティやミッションクリティカル性で重要度を分けて、品質管理体制を柔軟に運用するなどスピードを上げても安全に走れる為の仕組みを数多く用意しています。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:やや余談ですが、RMC(※1)もオープントーンが開発したと伺いました。

ええ。当行との長年のお付き合いの中から的確にニーズをくみ取り積極的にご提案頂き、採用させて頂きました。 他にも案件ごとのコスト管理システムなどもオープントーン様と長年のお付き合いを通して共同開発させて頂いています。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:オープントーンに限らず、単にサービスの開発・保守作業を依頼しているだけでなく、そうした高い信頼関係と相互理解に基づいて、複数のパートナーと常日頃から改善に取り組んでいる事が、今回の体制構築に大きく貢献しているという事ですね。

はい。先ほども申し上げました通り、我々はシステム部門では100人程度の体制です。それで400万の利用者を持ち、グループ内の金融サービスとしてのコアサービスの機能性と信頼性を保ち続けるには、余りにも力不足になってしまいます。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:お話をお聞かせ頂いていると、その体制にもかかわらず勘所……つまりステアリングはキチンと自社で行っている印象を受けましたが?

4. ベンダーと協力しつつ自社のIT力も高める

はい。そこは当行の非常に強い武器の一つだと感じております。システム部門の体制が少ない多くの事業会社がITガバナンスをベンダーに「乗っ取られる」中、当行はQCD(品質、コスト、納期)全ての面と、先進性・機能性を用いた開発において、自社のITガバナンスを維持し、行員がITプロジェクト全体のかじ取りを行っています。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:その事が他行とは大きく差別化して「2週間リリース体制」の構築に成功したポイントの一つでしょうか。自社でガバナンスが無ければ「独自の差別化」自体が困難ですね。

はい。ただそこについては当行の事情というか、特色もありますね。例えば開発部長である私自身、現在のFESシステム(※2)のコーダーの一人です。現在でも私がコーディングしたコードが数多く動いています。 結局「自分達で分かっている」というのは非常に強い武器です。2週間でリリースをする肝はプログラミングのスピードではありません。 むしろ、正しい仕様の理解に基づいた、要件や方針の決定と、レビューなどの品質の担保と判断など、そうした行員のすべき事の方が大きな要素です。 こうした、行員自身がシステムと技術を理解している事が、今回の体制構築を成し遂げた事情の一つではないでしょうか。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:オープントーンも大きく関わっていると伺いましたが。

ええ。オープントーン様には少々特殊なベンダーとして当社の開発体制の構築・維持に関わって頂いております。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:と言いますと?

当行のITガバナンス力の一部が、行員自身の開発力というのは申し上げました。私をはじめ、初期のコアな社員は開発力も採用時点で持っていました。しかし、グループに入り、こうして組織が大きくなってくると、そういうわけにもいきません。若手を育てていく必要が出ます。 そこで、オープントーン様には行員の育成もお願いしています。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:よく行員が「現場監督」として開発に参加して勉強する話を聞きますが?

いえ、それでは表面的な取り回しを覚えて帰ってくるだけです。育成をする行員には、完全に「開発メンバー」として開発チームに参加してもらいます。 そのメンバーである間は、協力会社……この場合はオープントーン様のリーダーの元でプログラミングを行い、テストを行います。
楽天銀行株式会社
千代様

Q:なるほど。「ちょっと勉強してこい」というレベルではなく、本当に開発者として、プロジェクトの進め方や技術力に加えて、開発チームの強みや課題、モチベーションやチームワークに至るまで、全てを経験させるわけですね。

はい。その事が「2週間でのリリース可能な体制」を構築出来た要因の一つでもあります。
楽天銀行株式会社
千代様

5. 結論

Q:銀行業でありながら「2週間でのリリース可能な体制」を構築出来た要因は、そうした総合力でしょうか?

まず第一にその事を決断した経営の強い意思ですね。 開発部門のみならず、運用部門、ユーザー部門が効果的に体制構築に向かって協力出来たのはそこですから。 そして、その土台には、ITガバナンスを自社で維持する仕組みづくりがあります。この点もオープントーン様にはご協力頂いていますが(笑)。 RMC(※1)を使用した案件ごとの時間単位の予実管理や、重要度に分けて管理する柔軟な品質管理の仕組み。 現在のオープンソースフレームワークを基盤にしたアプリケーションの構造が改善や保守を従来から意識して構築されていた事も重要な要因です。 そして、今回のオープントーン様をはじめとするベンダー各社の献身的な協力。 それらの総合力で今回発表させて頂いた体制構築を実現できたと感じています。 特にオープントーン様には、前述の通りITプロジェクト支援サービスを通してチームマネジメントからユーザー部門への調整、開発やテストの実施や改善、リソースの調整と調達、それらを一環してご提供頂きました。さらには、そのサービスの枠を超えて積極的に改善の提案や当行の行員の教育までご支援頂いています。 当行の中には大手ベンダーも沢山ご参画頂いておりますが、技術面やマネジメント面では全く遜色なく、こうした様々な当行のニーズに柔軟に応えて頂けるのは非常に有難く感じております。
楽天銀行株式会社
千代様