2006/12/14

■ 「単価」は高い?安い?
システムの「お見積もり」には多数の要素があります。
また、建築物などに比べて、相見積もりなどをしたときの価格差の大きさが多くの我々に対する他業界(つまりユーザー側)の疑問のひとつだと思います。

 ほかの製品や構築物の価格に比べて「ソフトウェアの価格の基準」はあってないようなものです。
 特に弊社のような「オーダーメイド」の場合は顕著になります。
 数社から相見積をとってみると、300%も開きがあったりします。
 さらには、あらかじめ予算を伝えておくと不思議なことにその予算ぎりぎりの提案がなされて来る場合も多く見られます。
 ユーザー側企業の「見積もりの根拠はなんだ?」というお話もごもっともです。

 まず、オーダーメイドのソフトウェアの見積もりの最大の要素は人月単価です。

 これは人件費とも微妙に違います。間接費や企業の利益などまで考慮した数字です。
 我々のような中小零細で100万、大手にいたると300万近い場合があります。
 場合によっては限りなく人件費に近づきますが、そうとも言えない場合もあります。
以下で説明します。

 この「単価」も企業の体質や商売の傾向などによって大きく左右されます。
 この「単価」をお聞きになって「弊社に発注はやめよう」と思った企業も多いかと思います。(笑)
 「もっと安い会社はいくらでもあるし、オフショアだって・・・」と。

 それを説明するためには「SIべんだ」を名乗る企業の業態を理解する必要があります。
1.提案型請負型企業
2.開発リソース提供型企業
 まず、この2方向で大きく分かれます。システムの開発の際の費用はいわゆる要件・設計・実装・テスト・運用などといわれます。しかし、実際にビジネスとなると、その上に提案などがつきます。
 とくに、「1.」型の企業は提案・・・つまり「こんなシステムが御社のビジネスに寄与しますよ、、、」
あるいは「こんなにコストが下がりますよ。いかがですか?」という形でユーザーに指し示します。
 その際には、顧客の業務を分析し、ビジネスのポイントや業界の動向などを把握し、顧客のシステム導入後のビジネスプランを描くことになります。

 さらには、それによって発生し、受注したプロジェクトのリスク全体を背負うことになります。
 初期の見積もりを誤り、1年のプロジェクトを苦しみ抜く企業もあります。

 そういった、提案のコスト、プロジェクト遂行のリスク全体を提供する企業は必然的に、そのコストとリスクを「単価」に反映させねばなりません。事業を継続する以上は利益を出さねばならないからです。
 たとえば、顧客に「ネット販売の開始が間に合わないの?何とかしなさいよ。広告も打っているんだよ?」
といわれたときに、どんなコストを払ってでも(どんなは言いすぎですが・・・)遂行する義務がある
分必然的にそのコストを単価に乗せねばなりません。

 其れでだけではありません。
 さらに、ITプロジェクトを遂行するためには、実はいわゆる「ゼネコン」や「商社」のプロジェクトの
ように「非常に多岐にわたる」技術や企業、ビジネスや法令の調整が必要になります。
 たとえば弊社ではICタグの案件がしばしばあります。こういったタグの案件の場合、RWの配置、配線、壁・ドアの材質の検討や、現地施工工務店の選定・・・。もちろんサーバーの選定やネットワークの検討。運用の設計・構築。サポート体制の提供・・・およそ「プログラム作ってます」とは駆け離れた非常に多岐にわたる要件をこなして、プロジェクトは完遂します。
 こういった企業の「単価」と「プログラムかけます。テストできます。仕様書・設計書ください。」
という企業の「単価」を同じ基準で「何人何ケ月で人件費が・・・」と算出できないのはすぐにお分かりのことでしょう。

 弊社が「安い」と自負しているのは、それらをすべて提供する能力・リソースに対する単価として
上記のような「単価」を提示していることです。

 ところが、弊社もSES型の案件を複数行っています。「アプリケーションリソースの提供以上のことを
依頼しなければ安くなるのですか?」といわれると其れにも苦笑しながら以下のような説明をしなければなりません。


 アプリケーションの構築にも上記のような要素は非常に付きまとうのです。
 よく「SES型」と「持ち帰り方」で比較されて、いますが其れも大きな間違いです。「開発場所がどこか」で
単価がきまっているわけでは有りません。
 たとえば、弊社が行っている多くのプロジェクトは「SES契約」であっても「リソースは出しました。指示してください。」
という形でプロジェクトにかかわることはありません。
 弊社のSES契約で「SIベンダ」としてご協力させていただく、以上は、逆に「これが必要ですね?こうしなければいけませんね?」と
「顧客が定めた大きな目標に向かって、さまざまな要素を提供する」ことを、つまりコンサルティングから含めて
トータルなITプロジェクトの円滑な遂行を使命としています。

 たとえば、「5人を出しました。5人が毎日作業できるように日々指示監督をお願いします。」という企業と、
「御社の求めるのは新しい業務システムを6ヶ月以内に欲しいのですね?ではそのためには、こういう技術を用いて、リソースはこのように配分して、こういった手順・・・つまりプロセスを定めて。。。もちろん実装リソースも手配しましょうか、、、」 という企業とでは、作業場所が顧客の事務所内というだけで、必然的に同じ「SES型」には見えますがあまりにもその「責任分担範囲」は違うことになってしまいます。
 「セキュリティやコミュニケーションなどの都合により顧客の作業場所を御借りしています。」という弊社のような業態と
「作業指示をいただくために、御社の中に人員を配置しています。」という形態とではあまりにも違う形になります。

 そういった、派遣免許などを取得し、そのような業態に特化している企業と、弊社のような業態の企業の「単価」を見積書を並べて、比較することは適切ではありません。
 ですから「作業場所がどちらか」では「単価の意味」を説明することはできません。


 SIベンダという言葉には明確な定義がありません。SEを何人か提供できる会社=SIベンダととられている
傾向があるようですが、上記のように、実際には企業の提供する財・サービスには大きな隔たりがあります。

 「お見積もり」を取得なさる場合には、上記の点を考えて見てください。
 どちらが「いい」というわけではなく、およそ、自分たちの求めるサービスがどちらかを検討なさり
その上で、適切なサービスを提供する企業の「見積もり」を検討するうえで、ひとつの参考にしてみてください。
posted at 14:58:47 on 2006/12/14 by sato - Category: 業界動向

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